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検診・治療レポート

患者の気持ち

肥満とは肥満とは

肥満は体脂肪が一定以上に多くなった状態を指します。体重に占める体脂肪の割合を体脂肪率(%)といいますが、男性は20%以上、女性は30%以上の場合に肥満とされます。特に体脂肪率が男性30%以上、女性40%以上は重度肥満と分類されています。体脂肪計がなくても身長と体重から肥満度を測定することができます。これはBody Mass Index(BMI:肥満指数)という数値で分類されますが、その計算方法は

です。

身長160cm、体重60kgの人は

となります。

日本肥満学会が決めた判定基準では以下のように分類しています。

 BMI
低体重(やせ)18.5未満
普通体重18.5以上 25未満
肥満(1度)25以上 30未満
肥満(2度)30以上 35未満
肥満(3度)35以上 40未満
肥満(4度)40以上

筋肉質の人だと体重が重いのでBMIが高めにでますが、体脂肪率が低いのが特徴です。BMIも体脂肪率も高いのは肥満です。BMIが高くないのに体脂肪率が高い場合はいわゆる「かくれ肥満」であり、気をつけなくてはいけません。また、「太った」と感じる、実際に体重が増加したことが「肥満」ではありません。2004年夙川学院短期大学(現:神戸教育短期大学)の15〜29歳の女性415名を対象とした研究では、自分の体型を実際に太めに評価している人の割合は低体重の人で約65%、普通体重の人で約55%と報告しています。厚生労働省による平成30年度「国民健康・栄養調査の結果」では、20歳代の女性の中で低体重の割合が約20%と40年前の1.4倍です。過剰なダイエットは、貧血、生理不順、摂食障害などを起こすので注意が必要です。


メタボリックシンドロームとはメタボリックシンドロームとは

内臓脂肪の蓄積
腹囲(へそ周り)男性85cm以上
女性90cm以上

高血糖、高血圧、脂質異常のうち
2つ以上に該当
脂質異常
中性脂肪150mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満
のいずれかまたは両方
高血圧
最高(収縮期)血圧130mmHg以上
最低(拡張期)血圧85mmHg以上
のいずれかまたは両方
高血糖
空腹時血糖値110mg/dL以上

肥満は脂肪がたまる場所によって、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の2つのタイプに分類されます。おなかの内臓周囲に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満は糖尿病などの生活習慣病ととても関係が深いことがわかっています。内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質代謝異常のうちいずれか2つ以上を併せ持った状態をメタボリックシンドロームといいます。診断基準は左記の数値で示されています。


頻度、性別、年齢頻度、性別、年齢

花粉

BMIが25以上の肥満は2018年国民健康・栄養調査の結果では男性32.2%、女性21.9%と出ています。やや男性に多い傾向です。年代別では、男性は40歳代にピークがあります。女性は年齢とともに肥満の割合が増えていきます。諸外国と比較してみると、BMIが30以上である肥満2度の割合は米国35.9%、英国26.1%、カナダ24.2%、スペイン16%、ドイツ14.7%、フランス12.9%と比較して日本は3.5%と圧倒的に少ないことがわかります。しかし、厚生労働省の発表では20歳以上で「メタボリックシンドロームが強く疑われる人」に該当する割合は男性26.9%、女性9.9%であり、予備群と考えられている人の割合は男性が22.5%、女性7.3%であることから、20歳以上の男性の2人に1人、女性の6人に1人が「メタボリックシンドロームが強く疑われるあるいは予備群」に該当するとしています。

肥満は何がいけないのか?肥満は何がいけないのか?

メタボリックシンドロームに代表されるように、肥満は糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病のもとになりやすいので放置できないわけです。特に高血圧や高脂血症は日本人の死因の第2位の心疾患、第4位の脳血管疾患の危険因子です。このように、肥満は放置して良いものではありません。そして、肥満は睡眠時無呼吸症とも強い関係があります。

睡眠時無呼吸症と肥満睡眠時無呼吸症と肥満

呼吸の通り道が狭くて無呼吸となる閉塞性睡眠時無呼吸症を持つ人の70%が肥満であり、逆に肥満を持つ人の約40%に閉塞性睡眠時無呼吸症を認めるとアメリカから報告されています。1997年のフランスによる研究では、肥満2度(BMI>30)の患者さんの26%に中等症、60%に軽症の睡眠時無呼吸症が認められ、肥満4度(BMI>40)では33%に中等症、98%に軽症の睡眠時無呼吸症が認められたと報告しています。肥満指数(BMI)が高いほど、睡眠時無呼吸症の重症度が悪化することがわかります。閉塞性睡眠時無呼吸症になってしまう確率は、体重が10kg増えるごとに2倍、BMIが6増えることに4倍、腰回り、おしり周りの長さが15cm増えるごとに4倍増加するとも報告されています。このように肥満と睡眠時無呼吸症は強く関係していることがわかりますが、なぜ関係があるのでしょうか?

肥満がいびきや睡眠時無呼吸を起こすメカニズム肥満がいびきや睡眠時無呼吸を起こすメカニズム

アレルギー性鼻炎の対策首回りに脂肪がつくことによって舌が後方に押し出され、のどの裏側にも脂肪がつくことで後壁が前方に押し出され、呼吸の通り道が前後からの圧迫で狭くなります。扁桃腺の裏側にも脂肪が付きますので扁桃も内側に張り出してきます。肥満の人が扁桃炎を起こすと、もともと張り出している扁桃がさらに腫れるために、呼吸が苦しくなるほど狭くなる人もいます。脂肪は口蓋垂(のどちんこ)を支えている軟口蓋にもつくので、軟口蓋が厚くなり口の中がさらに狭くなります。このように、形態的に周囲の圧迫を受けることでのどが狭くなり、そこを空気が流れることによっていびき、閉塞性睡眠時無呼吸が生じます。また、内臓脂肪型肥満の場合は腹部に脂肪がたまることにより肺のふくらみを邪魔したり、気管を圧迫することにより空気の通り道が狭くなったりすることも睡眠時無呼吸を起こします。

睡眠時無呼吸は肥満に影響を与えるのか?睡眠時無呼吸は肥満に影響を与えるのか?

一般的に両親が標準体重の場合に子供が肥満となる確率は10%であり、片親が肥満の場合は50%、両親が肥満の場合は80%と言われています。このように、肥満となりやすい体質、生活環境があることがわかります。最近も肥満遺伝子についてニュースがありましたが、現在世界中で見つかっている肥満に関係する遺伝子は120以上あると報告されています。これら遺伝子は肥満を抑制するタンパク質に障害を与えることが特徴です。そのタンパク質の代表的なものとしてレプチンがあります。レプチンは脂肪細胞から作られ、食欲を抑制したり食べ過ぎによって体にたまるエネルギーを放出させたりする作用があります。肥満の人はレプチンの感受性が低下し、食欲への抑制が困難になっていると考えられています。睡眠時無呼吸が重症になるほどレプチンの産生が減り、レプチンの感受性も低下することがわかっています。つまり、肥満がのどを狭くして睡眠時無呼吸を起こすばかりでなく、睡眠時無呼吸が肥満を悪化させる可能性があるわけです。

当院の取り組み当院の取り組み

当院では、レーザーによるいびき治療を保険診療で行っており、口蓋垂とその周辺部を切除し、糸で縫い上げることで上気道を広くしいびき、睡眠時無呼吸を解消します。BMIが30以上の肥満があり睡眠時無呼吸を伴っている場合は、まず体重の減量とCPAP治療を勧めます。先に記したとおり肥満によるいびきは、口蓋垂や軟口蓋の原因だけでなく首回りの脂肪によりのどが狭くなりいびきをかいているために、軟口蓋を形成してもいびきを大きく改善することが難しいからです。同様に肥満を伴う睡眠時無呼吸症の場合は、のどの狭いことだけが無呼吸の原因ではないのでCPAP導入を勧めます。しかし、CPAPの導入が難しい場合やCPAPの持続圧が高い場合は、鼻閉や咽頭が狭いなどを診察しますので当院へ気軽にご相談ください。

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医院概要医院概要

東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科

理事長・院長
竹腰 英樹
(医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医)
所在地
〒160-0022
東京都新宿区新宿4丁目-4-1 サテライト新宿ビル2F
高島屋デパート明治通り口正面
電話
03-3354-1941
最寄駅
新宿駅新南口より徒歩2分
新宿三丁目駅E7番・E8番出口より徒歩1分
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14:00~18:00 -

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