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ドクターズファイル

検診・治療レポート

患者の気持ち

はじめにはじめに

キリンビール社からプリン体90%カットの「淡麗アルファ」が発売されてから約20年が経つ現在はプリン体ゼロのビールや日本酒が販売されています。毎日のようにテレビCMで目にするプリン体フリーのお酒は、健康の何に良いのでしょうか?
それは「痛風:つうふう」を予防することを目的としています。今回は痛風といびきの関係をお話しします。

痛風はどんな病気?痛風はどんな病気?

尿酸(にょうさん)という物質が体内に過剰にたまり、それが関節で結晶化して炎症を起こします。これが痛風です。この関節の炎症が、しばしば夜間に激しい痛みを生みます。風が当たっただけでも痛むことから「痛風」と呼ばれるようになったとも言われています。痛風を放置すると、関節の激痛を繰り返し、体に結節ができ、腎臓にも影響を及ぼしてきます。

50年前の日本では痛風は稀な病気であり有病率が0.3%と報告されていますが、2019年の報告では有病率が約1%と3倍に増加しています。有病率が1%というのは100人中1人が痛風であることを示しています。痛風の原因となる高尿酸血症は、成人男性の20〜25%、女性の5%の有病率と10年前に報告されています。つまり、男性の5人に1人、女性の20人に1人は痛風の予備軍であり、意外と多いことが理解できます。
高尿酸血症は痛風ばかりでなく、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞とも密接な関係があり、放置して良いものではありません。痛風や高尿酸血症が増加した原因は食生活の欧米化、アルコール摂取量の増加などが指摘されています。女性に少ない理由は、性ホルモン、体重、赤血球、飲酒量の関与が示唆されています。

プリン体と痛風プリン体と痛風

では、なぜプリン体フリーにすると痛風の予防になるのでしょうか?
痛風の原因となる尿酸は、プリン体が体内で分解されてできる物質です。つまり、プリン体の過剰摂取、過剰生成、排泄不全で体内の尿酸量が増えると、高尿酸血症となり痛風となるわけです。
プリン体はプリン環という化学構造をもった物質の総称です。体を構成する全ての細胞に存在する核酸(DNAやRNA)はプリン体でできています。古くなった細胞が新陳代謝で分解されるとプリン体が排出されます。また、細胞のエネルギー源であるATPもプリン体でできているために、運動でATPが燃焼するとプリン体が排出されます。このように体内からプリン体が出てきますが、体外からも食事によりプリン体を取り込んでいます。プリン体は肝臓で代謝され尿酸となります。尿酸は2/3が腎臓、1/3が腸管から体外に排出されます。尿酸の素となるプリン体は7割が体内から3割は食事により供給されると考えられています。
つまり、プリン体の摂取量を減らすことは、尿酸の量を減らすことになり、痛風や高尿酸血症を予防することになります。

睡眠時無呼吸症候群と痛風睡眠時無呼吸症候群と痛風

21世紀に入り痛風と睡眠時無呼吸症候群の関係が報告されるようになってきました。2013年キール大学から英国の大規模外来データベースより痛風と診断された1,689人を対象に検討したところ、コントロール群と比較して睡眠時無呼吸症候群の有病率が2.1倍高いことが報告されています。2019年同じくキール大学から約16,000人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を検討したところ、睡眠時無呼吸を持っていない人と比較して、痛風の有病率が1.5倍も高いことを報告しています。2021年オーストラリア、フリンダース大学から18歳以上の約2,000名の検討から、睡眠時無呼吸症候のある人はない人と比較して痛風の有病率が2.6倍高いことを示しています。

なぜ睡眠時無呼吸症候群に痛風が合併するのか?なぜ睡眠時無呼吸症候群に痛風が合併するのか?

睡眠時無呼吸症候群に痛風が合併するのか?

まず、睡眠時無呼吸症候群に合併する高血圧、慢性腎臓病、糖尿病、肥満は高尿酸血症や痛風の危険因子でもあります。例えば肥満でいうと、2013年ジョンズ・ホプキンズ大学が米国国民健康栄養調査をもとに20歳以上の約28,000人を対象とした研究では、肥満のある人は痛風の有病率が2倍高く、肥満度が高くなればなるほど有病率が上がることを報告しています。閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ人の70%に肥満を認め、逆に肥満のある人の40%に睡眠時無呼吸を認めると米国から報告されています。つまり、肥満症の人は睡眠時無呼吸症候群も痛風も起こしやすくなるので合併しやすいと考えられます。
次に、睡眠時無呼吸症候群は文字通り睡眠中の無呼吸から低酸素状態になります。低酸素状態になると、体を維持するために細胞のエネルギー需要が高まり、エネルギーを補充するためにATPが生成され消費されます。先に述べましたが、ATPが燃焼するとプリン体が排出されます。つまり、肥満などの合併症が無くても睡眠時無呼吸症候群が高尿酸血症を起こす可能性があります。

いびきと痛風いびきと痛風

2019年中国、アンヒュイ医科大学による世界の1191論文をメタ解析した研究では、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群に高尿酸血症の有病率が高いことが示されました。つまり、軽度睡眠時無呼吸症候群や無呼吸症状を伴っていないいびき症の患者さんが痛風になりやすいとは言えないことを意味しています。しかし、この論文では高血圧や肥満などの合併症を考慮していません。睡眠時無呼吸症状が重度になるほど合併症を持つ割合も増加するために睡眠時無呼吸の重症化がどのくらい高尿酸血症に影響を与えるのかは議論の余地がありますが、先に示したように睡眠時無呼吸が高尿酸血症を起こしうるので注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群の患者さんはいびき症状を90%以上持っていて、逆に慢性いびき症の約30%に睡眠時無呼吸症を持つと報告されています。このようにいびきと睡眠時無呼吸症候群は強く関係しています。健康診断で高尿酸血症を指摘されて、いびき症状がある場合は、近くの医療機関で睡眠時無呼吸の有無を検査することをお勧めします。特に、男性である、30歳以上である、太っている、外食やコンビニ食が多い、食事の時間が不規則、アルコール飲料をよく飲む、甘いものが好き、ストレスが多い、ジュースや清涼飲料水をよく飲む、家族に痛風の人がいる、これらの項目が5つ以上当てはまる方は注意が必要です。

当院の治療当院の治療

当院では、なぜいびきが生じているのかを診断しています。適応のある患者さんに対しては、レーザーによるいびき治療を保険診療で行っていますが、外科的な治療ばかりがいびき治療ではありません。肥満があり重症な睡眠時無呼吸をともなっている場合は、まず体重の減量とCPAP治療やマウスピース装用を勧めます。いびきについて悩んでおり、治療について診察を受けたい方は当院へ気軽にご相談ください。

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医院概要医院概要

東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科

理事長・院長
竹腰 英樹
(医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医)
所在地
〒160-0022
東京都新宿区新宿4丁目-4-1 サテライト新宿ビル2F
高島屋デパート明治通り口正面
電話
03-3354-1941
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