尿路結石といびき
尿路結石症は、腎臓から尿の出口までの尿の通り道(尿路)に石が生じる病気です。尿路結石症は、泌尿器科の中で最も頻度の高い疾患の一つです。
2015年に行われた全国調査では年間罹患率(1年間で尿管結石と診断された人)は人口10万人に対して138人(男性:192人、女性:87人)と報告されています。この罹患率は50年前と比較して3倍、20年前と比較して1.6倍と増加傾向です。
その理由は、食生活の欧米化、CT検査による診断率の向上が考えられています。生涯罹患率(人生において尿路結石症を患う確率)は男性では7人に1人、女性は15人に1人と決して他人事の病気ではありません。
尿路結石症の典型的な症状は腰あたりの背中から横腹にかけての突然の激痛です。血尿や頻尿、残尿感が生じ、発熱する場合もあります。
腎臓に結石がある場合は無症状のことが多いのですが、結石が尿管に詰まると激痛が生じます。
尿管結石は自然に排泄する可能性が高く、石の大きさが5mm未満だと68%、5-10mmだと47%の自然排石率と報告されています。しかし、1ヶ月以上経過を観察し、排石されない場合は結石除去のための積極的治療が2023年尿路結石症診療ガイドラインでは勧められています。
尿路結石も放置していると腎臓の機能を悪くさせ、高血圧症の原因にもなり注意が必要です。
尿路結石の発生原因は、現在でも十分に解明させていません。
結石の原因物質であるカルシウム、シュウ酸、尿酸などが尿中に過剰となる状態、結石形成を抑制する物質であるマグネシウムやクエン酸の減少、尿が停滞する前立性肥大、奇形、長期臥床などの状態、食事や水分摂取量、遺伝、年齢、性別や人種など様々な原因が複雑に絡んでいるものと考えられています。
そのために、尿路結石症の80%以上は原因が不明と言われています。
2012年台湾の台北医学大学により、台湾国民健康保険データベースにて18歳以上で尿路結石症と診断された5万人とコントロール群16万人の比較検討が行われ、睡眠時無呼吸症候群の既往がある人は尿路結石症となる確率が1.38倍高いことを初めて報告しました。
最近の疫学的研究から、尿路結石は肥満、高脂血症、糖尿病、痛風の既往がある人に有病率の高いことが示されています。これらの疾患は尿中の尿酸、シュウ酸、カルシウム濃度が高くなり、尿路結石症を発症させると考えられています。
睡眠時無呼吸症を持つ人の70%が肥満であり、逆に肥満を持つ人の約40%に閉睡眠時無呼吸症を認めるとアメリカから報告されています。ハーバード大学による研究では、睡眠時無呼吸症を持つ人は、持たない人に比べ糖尿病となる確率が約4倍高いと報告しています。オーストラリア、フリンダース大学の検討では、睡眠時無呼吸症候群のある人はない人と比較して痛風の有病率が2.6倍高いことを示しています。
このように、睡眠時無呼吸症候群は尿路結石を起こしやすい疾患を併発していることから、尿路結石症の有病率が高くなるとも考えられます。
しかし、2018年台湾の振興医院により、同じく台湾国民健康保険データベースにて約8千人の睡眠時無呼吸症候群と診断された患者群の解析で、睡眠時無呼吸と診断されていない人と肥満、糖尿病、高脂血症、痛風などの既往疾患を調整して比較しても尿路結石症のリスクが35%高いことを報告しています。
2024年中国、重慶医科大学による米国国立健康統計センターの約3万5千人のデータ解析にて、睡眠時間が少ないまたは睡眠の質が悪いと、尿路結石の有病率が高くなることを示しています。睡眠不足だと日中の身体活動が減少し、水分補給の少なくなることが尿路結石の要因と考えられています。
さらに、2023年米国ヴァンダービルト大学附属病院にて睡眠時無呼吸症候群と診断された109人を対象とした検討にて、患者さんの尿が有意に酸性であったことを報告しています。尿が酸性化すると、尿中で結石予防の働きをするクエン酸が減少し、シュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。そして尿酸が尿中に溶けにくくなり、尿酸結石も生じやすくなります。
このように、睡眠時無呼吸症候群単独でも尿路結石を起こす可能性が示唆されてきました。
尿路結石症は再発がしやすく5年で45%、10年で60%の再発率であることがガイドラインに示されています。再発予防には、飲水指導、栄養管理、身体活動の促進、尿路結石を起こしやすい疾患の治療となります。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんはいびき症状を90%以上持っていて、逆に慢性いびき症の約30%に睡眠時無呼吸症を持つと報告されています。このようにいびきと睡眠時無呼吸症候群は強く関係しています。
尿路結石症と診断を受け、いびきを指摘されている場合は、近医にて睡眠時無呼吸の有無を調べてもらうことを勧めます。
当院では、なぜいびきが生じているのかを診断しています。適応のある患者さんに対しては、レーザーによるいびき治療を保険診療で行っていますが、外科的な治療ばかりがいびき治療ではありません。
肥満があり重症な睡眠時無呼吸をともなっている場合は、まず体重の減量とCPAP治療やマウスピース装用を勧めます。
いびきについて悩んでおり、治療について診察を受けたい方は当院へ気軽にご相談ください。
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