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ドクターズファイル

検診・治療レポート

患者の気持ち

はじめに

高齢者の物忘れ

「昨日のお昼ごはん何を食べたかな?」、「あの人の名前が思い出せない。」など物忘れが度々起こると「認知症」を誰しも不安になってしまいます。
これは「物忘れ」であり、認知症とは異なります。

認知症の物忘れは、1)体験したこと自体忘れる、2)新しい出来事は記憶できない、3)ヒントを与えられても思い出せない、4)時間や場所などの見当がつかない、5)日常生活に支障がある、などを起こしてきます。
2010年には世界中で3,560万人が認知症を患っていると推定され、2050年までに1億1,540万人に達すると予想されています。

日本における認知症の患者数は2012年に約462万人いるといわれ、65歳以上の7人に1人が認知症と考えられていました。2022年の厚生労働省の資料では、65歳以上高齢者の27.8%に認知症、軽度認知障害を認めたと報告しており認知症は身近な存在です。
健康寿命を延ばすためにも、認知症を防げるならば予防を心がけたいところです。

認知症とは?

認知症とはさまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、認知機能が低下し、日常生活が正常に送れない状態になることを言います。
認知機能とは、主に「記憶力」、「言語能力」、「判断力」、「計算力」、「遂行力」のことを指します。

認知症には種類があります。アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く(認知症全体の中で約60〜80%)、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。

アルツハイマー病の病態は、脳内で生成されるタンパク質であるアミロイドβが蓄積し、続いてタウ蛋白の異常リン酸化・沈着が進み、神経細胞障害、シナプス機能低下、脳萎縮、認知機能低下へ至る進行性の神経変性です。近年はこのアミロイドβ・タウ蛋白病理に加えて、神経炎、血管障害、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、脂質代謝異常、腸脳相関なども関与する多因子疾患と考えられています。

次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症(認知症の約20%)です。障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。

その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになり転びやすくなったりする症状(パーキンソン症状)が現れるレビー小体型認知症(認知症の約5%)、スムーズに言葉が出てこない、言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールが守れなくなるといった症状が現れる前頭側頭型認知症(認知症の約3%)といったものがあります。

認知症を起こす原因は?

認知症の原因遺伝子は、同定されてきています。ただし、一般的な認知症の多くは「1つの遺伝子で決まる」わけではなく、複数の遺伝因子と環境要因が重なる多因子疾患です。
認知症の主な危険因子は、加齢を土台に、血管危険因子と生活習慣・精神症状・睡眠障害が重なることです。認知症の40%は高血圧症、糖尿病、脂質異常症、運動不足、喫煙、うつ・不安、社会的孤立、睡眠障害、頭部外傷、低教育歴など予防可能な因子が報告されています。
睡眠時無呼吸症候群の治療は認知症を予防する因子として現在注目されています。

認知症と睡眠時無呼吸症候群

認知症と睡眠時無呼吸症候群

1985年米国のペンシルベニア州立大学から重症睡眠時無呼吸症候群50人のうち76%に認知機能低下を認めたことを報告して以来、世界中で認知症と睡眠呼吸障害の関係性が報告されています。
2017年米国カルフォルニア大学による40歳以上の参加者20万人を対象とした6つの前向き研究のメタ解析では、睡眠時無呼吸症候群の成人は3年から15年の追跡にて著しい認知機能低下または認知症を発症する可能性が一般より26%高いと報告しています。
2020年代になりスペインや米国からアルツハイマー型認知症の43〜91%、英国からレビー小体性認知症の18〜35%に睡眠時無呼吸症候群を認めると報告しています。

では、なぜ睡眠時無呼吸症候群が認知症と関係が深いのでしょうか?
まず、認知症の危険因子である高血圧症、糖尿病、脂質異常症、うつ病の誘因として睡眠時無呼吸症候群があります。高血圧症の30~60%、糖尿病の50~80%、うつ病の10〜35%、肥満を持つ人の約40%に睡眠時無呼吸症候群を認めると報告されています。
睡眠時無呼吸症候群はその無呼吸、低換気から血中の酸素濃度が下がることにより(つまり息苦しくなり)、中途覚醒や睡眠の分断化を生じ、深い眠りが障害されます。睡眠は神経可塑性をサポートし、神経ネットワークを再編成し、灰白質の変化を促進します。脳の中で記憶を担っている海馬は睡眠と密接に結びついており、記憶の統合を助けます。

グリンファティックシステムという脳内に溜まった有害な老廃物を、脳脊髄液を介して洗い流す脳のゴミ処理・洗浄システムがあります。グリンファティックシステムの障害により、アミロイドβ、タウ蛋白などの排出が妨げられ、脳内蓄積が増加することが動物モデルで示されています。グリムファティック廃棄物処理の重要な特徴は、睡眠状態に依存性しており、深い眠りの時に活性化します。つまり、睡眠障害は記憶の形成と脳の統合に障害を与え、アルツハイマー病の原因物質を脳内に溜めやすくなります。

また、睡眠時無呼吸症候群の特徴である反復する間欠的低酸素と再酸素化は、酸素から作られる活性酸素種(ROS)を増やし、酸化ストレス状態となり、脂質・蛋白・DNAが傷つき、ミトコンドリア障害、細胞障害や細胞死、炎症を起こし、神経細胞死、脳血流低下、白質障害や灰白質萎縮を介して、注意・遂行機能・記憶の低下や、アルツハイマー病を含む認知症リスク上昇することが報告されています。
睡眠時無呼吸が重症なほどその影響が強くなることも報告されています。これらのことから単純な睡眠不足より、睡眠時無呼吸症候群が認知症の危険因子として強いことが理解できると思います。

認知症といびき

2025年英国オックスフォード大学より45万人のデータを解析し、いびきと認知症とに因果関係を認めなかったと報告しています。つまり、いびきがあるからとすぐに認知症を心配する必要はありません。
ただ、睡眠時無呼吸症候群の患者さんはいびき症状を90%以上持っていて、逆に慢性いびき症の約30%に睡眠時無呼吸症を持つと報告されています。

65歳以上で高血圧症、糖尿病、脂質異常症、うつ病を持ち、いびき症状がある場合は近くの医療機関にて睡眠時無呼吸の有無を検査することを勧めます。適切な睡眠時無呼吸症候群への介入により、認知症発症や進行を遅らせられることが示唆されています。

当院の治療

当院では、なぜいびきが生じているのかを診断しています。
適応のある患者さんに対しては、レーザーによるいびき治療を保険診療で行っていますが、外科的な治療ばかりがいびき治療ではありません。
肥満があり重症な睡眠時無呼吸をともなっている場合は、まず体重の減量とCPAP治療やマウスピース装用を勧めます。

いびきについて悩んでおり、治療について診察を受けたい方は当院へ気軽にご相談ください。

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医院概要医院概要

東京ロンフェルメ耳鼻いんこう科

理事長・院長
竹腰 英樹
(医学博士/日本耳鼻咽喉科学会認定専門医)
所在地
〒160-0022
東京都新宿区新宿4丁目-4-1 サテライト新宿ビル2F
高島屋デパート明治通り口正面
電話
03-3354-1941
最寄駅
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